私の庭には4月から11月の頃まで蝶がやってきます。色々な種類の蝶がそれぞれ好みの花の蜜を吸い、卵を産み付けていきます。私の庭は美しい花畑などではなく、雑草を抜くのが追い付かない、超自然な庭です。この原野のような庭に蝶たちは何故集うのか、観察してみました。

庭に来る蝶
観察場所;茨城県北部

蝶、表と裏
蝶の表羽は羽を広げた背中側で、腹側は裏羽と呼びます。蝶の羽は、表の方が鮮やかな模様をしています。また、雄と雌とでは、種類が違うのかと思うほど羽の模様が違います。ツマグロヒョウモンCyber-shot WX70
ヒメアカタテハ、表羽
ツマグロヒョウモンタテハCyber-shot WX70
こちらはヒメアカタテハの裏羽
アゲハ蝶sony a6000
こちらはアゲハ、羽の表
アゲハsony a6000
こちらはアゲハの裏羽となります。
私は今まで逆に考えていたので、蝶図鑑で調べても蝶が見つからないとがっかりしていました。今は写真を撮って、裏表よく見て調べています。

庭に来る蝶の種類
アゲハ、キアゲハ、アオスジアゲハ、クロアゲハ、ヤマトシジミ、ツマグロヒョウモン、ジャノメタテハ、モンシロチョウ、キチョウ、イチモンジセセリなどです。その他にも何種類か見てはいますが、名前がはっきりしないので書けません。
キアゲハsony a6000
産卵のためにやってきたキアゲハ

では蝶たちは、どの花の蜜を好むのでしょうか。


蜜源(庭にある花)
庭で咲いている花の蜜を吸うのを見て書きました。見ていない所で違う蜜も吸っているかもしれません。
モンシロチョウ・・・ムシトリナデシコ、ノースポール、シソ、カブ、スミレ、ハルジオン、キュウリ
イチモンジセセリ・・・ゼラニウム、ヒメヒマワリ、百日草、コスモス
アゲハ・・・ゼラニウム、ムシトリナデシコ、百日草
キアゲハ・・・ムシトリナデシコ、ゼラニウム、ユリ
アオスジアゲハ・・・ムシトリナデシコ
ヤマトシジミ・・・ローズマーリー、サカキ、ムシトリナデシコ
ヒメアカタテハ・・・コスモス、山茶花、百日草
クロアゲハ・・・シーラー、ゼラニウム、ユリ、ツツジ
キチョウ・・・シソ
ムシトリナデシコCyber-shot WX70
蝶たちに一番人気なのはこのピンクのムシトリナデシコ、丈夫でこぼれ種で増えます。
ヤマトシジミsony a6000
ローズマリーの蜜を吸うヤマトシジミ
モンシロチョウsony a6000
ノースポールの蜜を吸うモンシロチョウ
イチモンシジセセリCyber-shot WX70
百日草の蜜を吸うイチモンジセセリ
イチモンジセセリ2Cyber-shot WX70
同じくイチモンジセセリ、ゼラニウムの蜜を吸っています。
モンキチョウCyber-shot WX70
シソの蜜を吸うキチョウ(秋型)

蝶はなんでも咲いている花には止まって蜜を吸うというイメージでしたが、意外と好みの花があるようです。私が意外だと思ったのは、クロアゲハやキアゲハがゼラニウムの蜜を吸いに来たことです。ゼラニウムにも蝶の好む蜜があるんかという驚きです。

蝶って不思議
蝶って、一年で3回~6回も発生して、さなぎで越冬したり、幼虫で越冬したりしているんですって、ご存知でした?モンシロチョウは5~6回、ヒョウモンタテハは4回、アゲハは2回など、その種類によって回数は異なりますが、なんとシジミチョウなどは7回も卵を産み蝶になりを繰り返すのだそうです。ビックリです。
モンシロチョウは早いものでは2月ごろから現れると言われていますが、茨城北部では、4月に見られます。私は、沖縄のような温かい場所では2月ごろから羽化し、こちらでは、4月ごろ暖かくなってから羽化しているのかもしれないと思いました。

それから、羽化を繰り返している蝶は、春と秋では微妙に羽の模様や色が変わるものもあるようです。良く調べてみると同じモンシロチョウだったとか、キチョウだったということがあるかもしれません。

イチモンジセセリは、7月ごろから見かけます。セセリ類の中には、北上しながら再生するものもいるそうです

アゲハの仲間は縄張り意識が強く、縄張りに侵入する者を激しく追い払う姿を見ます。
クロアゲハの戦いsony a6000
クロアゲハが侵入者を追いまわす。

蝶には記憶力があるかもしれない。蝶にも記憶する能力があるのかもしれないと思うのは、随分前の話になります。キアゲハが年に何回も庭のパセリを食べて羽化していました。庭で作業をしていると肩や帽子に止まり羽を休めたりしていました。私は、ちょっといい気になり、ある年、手に乗せようとムシトリナデシコで蜜を吸うキアゲハに手を出しました。最初はちょっと離れるだけで逃げようとしませんでした。捕まえられない私はちょっとムキになり、シュッと機敏に手を動かしました。蝶はびっくりして高く舞い、また花へ降りてきました。私は、更に意地になり、今度は、網を出してきてすくい捕ろうとしました。キアゲハはびっくりして逃げてしまいました。それからは、キアゲハは庭には来るものの、私が庭にいる時は空中を素通りして、庭には来なくなりました。人の心を見ているのか、私が捕まえようとしたことを覚えているのか分かりませんが、そんなことがありました。

余談ですが、虫は、人の皮膚などから出る二酸化炭素が苦手だと聞いたことがあります。やたら虫を捕まえるのは、虫にとって恐ろしいことなのかもしれないと思いました。

水飲み場は蝶にも優しい

水飲み場sony a6000
鳥のために用意した水飲み場は、蝶も水を飲んでいるのを見かけます。

庭で蝶を育てよう!!

可愛い蝶たちを庭で育てるにはまず幼虫の食べる餌となる食草を知ることです。では、食草について書いてみましょう。

食草(幼虫の餌)
ここに書き出したものは庭にある植物です。
モンシロチョウ・・・カブ
アゲハ・・・キンカン
キアゲハ・・・パセリ
クロアゲハ・・・キンカン
ヤマトシジミ・・・カタバミ
ツマグロヒョウモン・・・スミレ

食草が故に困ったこと
キアゲハとパセリ・・・春にパセリの種を蒔き、ようやく食べごろになるころアゲハの幼虫がパセリを丸坊主にしてしまいます。アゲハより先に食べたらいいのですが、アゲハの幼虫まで食べてしまいそうなので、最近は冬にポット苗を買って植えるようにしています。
クロアゲハ&アゲハとキンカン・・・キンカンの木にたくさんの幼虫が育っています。
ツマグロヒョウモンとスミレ・・・8月まで大事に育てたビオレ一鉢が、ツマグロヒョウモンが卵を産み付け、幼虫が11匹ふ化した後3日で丸坊主になったことがありました。

モンシロチョウCyber-shot WX70
モンシロチョウがはつか大根の葉裏に産卵している様子。
ヤマトシジミsony a6000
ヤマトシジミがカタバミに産卵をしている様子。
キアゲハの産卵sony a6000
キアゲハがパセリに産卵している様子。

雑草だと言って全部抜いてしまうと、食草にしていた蝶が卵を産む場所が無くて来れないということもあるんですね。中には大切な花や葉を食べられたとがっかりすることもありますが、幼虫がいるとわかればちょっと我慢して、農薬をまかないでおく・・・というのも必要ですね。

庭の食物連鎖
夏、四匹のキアゲハの幼虫がパセリを食んでいました。まだ卵からかえって2~3日の黒い体です。アシナガバチがしきりに幼虫を気にしています。翌日3匹になりました。幼虫の体の模様が少し変化していきました。もう少しで緑色と黒のしゃれた模様になります。しかし、今日は全ていなくなりました。ちょっと寂しいきもちです。

ちょっとオマケ
クロアゲハの羽化

クロアゲハが4月終わりごろから庭に来ました。キンカンの木に卵を産み付けたらしく、五月が終わるころには幼虫がミカンの葉を食べていました。それからしばらく姿を見ていなかったのですが、サカキの枝を切る時に、私の頭上30cmくらいのところで羽化しているとところを、剪定作業を手伝っていた長男が見つけました。
これは、6月28日の昼の写真です。
DSC02685Cyber-shot WX70
羽化したばかりのクロアゲハ。羽が波打っています。そばには抜け殻があります。
クロアゲハCyber-shot WX70
木の葉が茂る所で、羽を乾かしています。もっと茂っていたのですが、剪定で露わなりました。しばらく天敵に襲われないように見守ります。
クロアゲハCyber-shot WX70
だいぶ羽が広がりました。
クロアゲハCyber-shot WX70
広いところに出てきて羽を広げ更に乾かします。ここまで約2時間余り。天敵から身を守りながら羽化に成功しました。
クロアゲハCyber-shot WX70
翌日、庭に蜜を吸いに来たクロアゲハ。

今日も庭にはクロアゲハ、ヤマトシジミ、ツマグロヒョウモンが来ました。同じ場所にいくつもの種類の蝶が舞うのは、食草や好みの花が違うからでしょうか。植物がたくさんあるということは、蝶にとって良い環境であるということですね。

庭に生き物がいるのは本当に楽しいです。

蝶についてもっと知りたい方は、「フィールドガイド 日本の蝶」があります。蝶の裏表羽の写真もあって、とてもよく分かるそうですが、幼虫については載っていないそうです。

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幼虫についてもっと詳しく知りたい方は、安田守著の「イモムシ」があれば、蝶の生活すべてがわかるので、蝶の観察がもっと楽しくなりますね。

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以前、家の塀を闊歩する派手な姿の毛虫を見つけました。体長5センチくらいで全身約0.5cmのレモン色の毛におおわれ、おしりの所にはアンテナのように紅い1cmくらいの毛の束がピンと立っていました。ものすごぉ~く綺麗な毛虫の名前を知りたくて、家にあるもの図鑑で調べましたが、毛虫の写真が無く、ネットでも分からないままです。「イモムシ図鑑」欲しいです。

庭に来る蝶、似ている蝶の見分け方と特徴」を書きました。蝶の写真を沢山アップしました。また、キアゲハが卵から蝶になるまでを写真で紹介しています。

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