「蝶が庭に来るのは何故か花だけじゃない植物との関係」の中で蝶の食草や、好きな花の蜜を書きました。今回は、前回写真が無かったものの写真や、良く撮れた写真などをアップします。また、前回書いた蝶に関しても、他の蝶との対比のために写真をアップしてあります。見比べてみてください。

私は、幼虫もよく見ます。それで写真もたくさん撮り、それを載せました。苦手な方は、このページから離れて下さい。

庭に来る蝶
観察場所:茨城県北部。自宅の庭で観察したものを書きました。

ジャコウアゲハ
20180423ジャコウアゲハ
ジャコウアゲハ雄2018年4月23日の写真
20180508ジャコウアゲハ雌
ャコウアゲハ雌、2018年5月8日撮影。雄の表羽より黄色がかったシルバーです。

グループ:アゲハチョウ科
蝶の好む蜜:ツツジ、シーラー、姫ヒマワリなど
幼虫の食草:ウマノスズクサ、毒草です。庭にはありません。
特徴:なんといっても腹の部分が奇抜な赤であることです。このお腹の赤いのを見れば危険であることがわかります。雌は黄色がかった灰色の羽のしていて、羽の筋が黒くはっきりとしています。別の蝶のような感じに見えます。
20180820ジャコウアゲハの赤い腹
2018年8月20日の写真
4月はお腹の赤い色が鮮明ですが、8月に見るジャコウアゲハは、お腹の赤い色が少し薄くなります。
20180820ジャコウアゲハ雄
ジャコウアゲハ雄 表羽
ジャコウアゲハの幼虫は、有毒のウマノスズクサを食べます。それで体には毒が蓄えられます。羽化してもその毒は抜けません。人が触る分には問題はないらしいですが、鳥が食べると吐いたりするそうです。食べられないようにジャコウアゲハに擬態するチョウやガがいるそうです。
庭には雌のジャコウアゲハはめったに来ません。それは食草が無いからかもしれません。
20180508ジャコウアゲハ雌



ヒカゲチョウ
20180614ヒカゲチョウ
グループ:ジャノメチョウ科
蝶の好む蜜:クヌギの樹液
幼虫の食草:ゴキダケ、メダケ、イネ科の植物
発生数:年2回、5月、6月ごろと8月、9月ごろ
特徴:ヒカゲチョウ雌は全体の色が薄く前羽の表にある白の模様がはっきりしていて、雄の後ろ羽に見られる毛の束が無い。ヒカゲチョウは日本の特産種でふつうにみられる蝶だそうです。20170923ヒカゲチョウ
庭には幼虫の食草やクヌギなどはありませんが、羽を休めるために来るのか、花の蜜を吸うためなのか夏には時々見かけます。

イチモンジセセリ
イチモンジセセリ2
グループ:セセリチョウ科
好む蜜:姫ヒマワリ、ミント、ガウラなど
幼虫の食草:イネ科の植物
発生回数:年に5回から6回。
特徴:イチモンジセセリの羽には前羽表に白い点が三日月状に並び、後ろ羽には、左右対称に一直線になるように白い点があります。止まる時の羽の形が独特で、畳んで止まる時と前羽を垂直に立て後ろ羽を水平にするときがあります。残念ながらなぜそのように羽を広げたり畳んだりしているのか、違いは分かりません。イチモンジセセリは雌が濃い羽色で雄は薄いと言われています。庭には8月にたくさん現れます。繁殖を繰り返しながら南から北へ集団で北上するともいわれています。
イチモンジセセリ
8月13日の写真、イチモンジセセリが姫ヒマワリにたくさんいました。
イチモンジセセリ1
これはとても羽色が薄いです。雄なのでしょうか。色の違いはよく分からないので雄雌の判別が難しいです。
20180820止まる時の姿勢
イチモンジセセリの特徴的な羽根、まるで戦闘機の様な形だと思います。
せせりのべっど
夕方こんなところでセセリが寝ていました。

庭が静かになりました
8月23日、庭からイチモンジセセリの姿が見当たりません。ミントの花、ガウラの花、姫ヒマワリの花、桔梗の花・・・くまなく探しましたが、一匹も見えません。旅をするというのは本当かもしれない、と思いました。

コヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ表羽
別名ヒメヒオドシチョウ。
グループ:タテハチョウ科
好む蜜:クヌギの樹液
幼虫の食草:イラクサ類
発生回数:年に2回発生、6月下旬と8月、9月に現れます。蝶で越冬。庭で見られるのは稀です。
特徴:庭に来る蝶の中では、ヒメアカタテハに似ていますが、羽を畳んだ時の羽の形と模様が違うのですぐに見分けがつきます。
ヒオドシチョウ2
コヒオドシチョウ裏羽。周りに溶け込んで見つけにくい色をしています。庭にはコヒオドシチョウの食草やクヌギの木はありませんが、森が近いので立ち寄るのではないかと思います。

ヒメアカタテハ
ヒメアカタテハ
グループ:タテハチョウ科
好む蜜:ムシトリナデシコ、ノースポール、コスモス、山茶花
幼虫の食草:ハハコグサ、ヨモギ、ヤグルマギク
特徴:ヒオドシチョウやツマグロヒョウモンと色が似ていて間違えます。見分ける方法は、後ろ羽に黒い縁が無い(ツマグロヒョウモンは縁がある)、羽を畳んだ時鮮やかな模様をしている(ヒオドシチョウは羽の裏が枯葉のような色をしている)などで見分けます。

実は私、ツマグロヒョウモンとヒメアカタテハをずっと混同していました。季節によって個体によって羽の模様が違うのかと思ったり、目が悪くなったのかと思ったりしていました。

ツマグロヒョウモンとヒメアカタテハの羽の違い
表羽の比較
ヒメタテハの表羽
ヒメアカタテハの表羽、ツマグロヒョウモンより色が鮮やかで、後ろ羽は黒の縁がありません。
20160930ツマグロヒョウモン
ツマグロヒョウモンの表羽。ヒメアカタテハより地味で、後ろ羽が黒い模様で縁取られています。

裏羽の比較
20141103ヒメタテハ
ヒメアカタテハの裏羽
ツマグロヒョウモン201807
ツマグロヒョウモンの裏羽。パッと見、違いは後ろ羽の黒い縁くらいです。裏羽で惑わされてしまいます。
20180820ヒメタテハ正面
ヒメアカタテハの正面。一心に蜜を吸っています。
20180820ヒメタテハ3
綺麗な羽根です。

飛び方の違い
ツマグロヒョウモンは地面の辺りをパタパタと飛びますが、ヒメアカタテハは花から花へ移動します。

ツマグロヒョウモン
20170828ツマグロヒョウモン
グループ:タテハチョウ科
好む蜜:ムシトリナデシコ、姫ヒマワリ、コスモス、山茶花
幼虫の食草:スミレ類
発生回数:年に4回くらい。庭では、6月頃から8月頃までよく見ます。スミレが残っていると産卵され幼虫の餌になります。
特徴:ツマグロヒョウモンの雌は、カバマダラに擬態しています。カバマダラは毒があり、鳥が食べないからだそうです。雄は、ヒョウモンチョウによく似ています。黄色のヒョウ柄の大きな羽がとても美しい蝶です。雄は蜜を吸うと庭にはあまり長居しません。
ツマグロヒョウモンは地面の辺りを飛んでいることが多いです。産卵していると言われますが、幼虫の姿がわかりません。
ツマグロヒョウモン20170828
雌が羽を広げるとこんな模様です。


モンシロチョウ
モンシロチョウ20180630
グループ:シロチョウ科
好む蜜:菜花、ムシトリナデシコ、ノースポールなど
幼虫の食草:アブラナ科の植物
発生回数:年に5回から6回。私の地域では4月に現れます。
特徴:春は黄色化がった白い羽をしていて、夏から秋には黒っぽい白の羽になるようになる感じがします。
モンシロチョウ
モンシロチョウは普通アブラナ科の植物に卵を産むと言われますが、今年、庭にはアブラナ科の植物はありませんでした。するとバラの鉢に芽を出したぺんぺん草に産卵をしていきました。その後ふ化したところは見ていません。

クロアゲハ
20170903クロアゲハ
クロアゲハの雌
グループ:アゲハチョウ科
好む蜜:ゼラニウム
幼虫の食草:ミカン類
特徴:オスは前羽と重なる後ろ羽に白い模様があり、体は雌より小さいです。雌は後ろ羽に赤い模様があります。雄より体が大きいです。ジャコウアゲハの雄に色が似ていますが、体格は格段に大きく、庭でかち合うと、ジャコウアゲハは追い立てられてしまいます。
20180820クロアゲハ雌
ミカンの木に卵を産むクロアゲハの雌。
クロアゲハの雌も、食草と言われていないサツマイモの葉に卵を産ものがありました。卵がふ化した様子はありません。ミカンの木が近くにありましたが、アブラムシがたかっていたので嫌がってミカンの木には卵を産みたくなかったのか、不思議な行動をするなと思いました。

アゲハチョウ
アゲハチョウ
アゲハチョウの雌の表羽
グループ:アゲハチョウ科
好む蜜:ハルジオン、百日草など
幼虫の食草:ミカンの木
発生回数:年に5回から6回。
特徴:アゲハは、地色の薄い黄色に黒い帯がくっきりとしています。雌はオスより薄黄色の幅が少なく黒い部分が大きく、輪郭がぼかされています。メスはオスより後ろ羽の黒い模様が大きいのが特徴です。個体差もありますが、春より夏は大きくなります。
アゲハチョウ裏側
アゲハチョウの裏羽です。

キアゲハとアゲハの羽の比較

キアゲハ2
キアゲハの表羽。黄色が強いのがわかります。蜜を吸うキアゲハ
キアゲハの裏羽。裏側からは模様の違いはよく分かりません。飛んでいる蝶を見分けるのに時間がかかりました。産卵場所が明らかに違うので、そこから違いを見分けるようにしました。

産卵場所の違い
アゲハは、ミカンの木に卵を産みます。
アゲハ産卵
アゲハ蝶の産卵

キアゲハはパセリなどのセリ科の植物に卵を産みます。

幼虫の形や模様の違い
アゲハの幼虫
アゲハの幼虫
さなぎになる前の幼虫は葉の色とそっくりで見つけにくいです。脱皮二回目はキアゲハに似た模様で黒っぽいです。
アゲハの幼虫9月18日
アゲハの幼虫です。鳥のフンに擬態しているともいわれています。
キアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫

体の模様ははっきりとした違いがあります。よく見ると体の形が違います。シルエットでも見分けがつきます。

キアゲハ
産卵
キアゲハの産卵です。
グループ:アゲハチョウ科
好む蜜:ユリ、ムシトリナデシコ
幼虫の食草:パセリ類
発生回数:3回から4回
特徴:アゲハと見分けるのはなんといっても色です。キアゲハは、黄色い色をしています。体はキアゲハの方が一回り大きいです。
キアゲハの雄は黄色がはっきりしていて模様もくっきりしています。雌より体は小さいです。雌の表羽は全体が雄より黒っぽいく、体は雄より大きいです。個体差はあります。
キアゲハの雄と雌
キアゲハの雄と雌です。蜘蛛の巣の向こうで分かりにくいですが、左側羽が大きく黒っぽいのが雌で、右側黄色が鮮やかで小さいのが雄です。雄は庭に長居はしません。現れたら雌を探して一回りするとまた別の場所へ飛んで行ってしまいます。花の密は最低限の量だけしか飲まない感じです。

キアゲハの一生
産卵からずっと写真を撮り続けました。第一回目の産卵は、野鳥に食べられてしまい、全滅してしまいました。鳥も虫もサバイバルしています。
卵
中央の約一ミリの黄色味を帯びた丸いものがキアゲハの卵です。
キアゲハ幼虫
幼虫はキアゲハもアゲハも生まれたては黒っぽいですが、脱皮を始めると違う体の模様になります。奥右側の白黒は初めての脱皮、左手前は2度目の脱皮、真ん中の大きいのが最後の脱皮。ふ化したばかりはどこにいるか分かりませんでした。
キアゲハ幼虫 (2)
アゲハ蝶の幼虫は全体に緑色ですが、キアゲハは黒いボーダー柄です。こちらは5センチ近い大きな幼虫。そろそろさなぎになります。
さなぎの用意
さなぎになる準備をしています。
9月4日夕方のサナギ
最初は黄金色に輝いてとてもきれいでしたが、夕方にはこんな風に周りに溶け込んだ色に変化しました。動けないわけですから、周りと同化するということは大事なことですね。
9月5日さなぎ
翌日は、蝶の模様になるのか黒い筋も見えるようになりました。

しかし、さなぎにまでなっても全部蝶になれるわけではありません。中には寄生され羽化でないのもいます。
羽化したばかりのキアゲハ
晴れて成虫になったキアゲハ。
羽の乾くのを待つ
羽が乾くのを待って・・・

ルリタテハの雄
蝶の観察をしていて今年の夏の最大の喜びは、ルリタテハの雄を見たことです。羽の青が印象的で、裏羽は渋い枯葉色で、大きな羽がパタッ、パタッとひらくたび、青が光りました。宝石のようにとてもきれいでした。今度見かけたら是非にも写真を撮りたいです。

まとめ

庭に来る蝶が全て庭で卵を産むわけではなく、また、庭に来ても蜜を吸いに来るわけでもないことが分かりました。
今年は、パセリを植えなかったのでキアゲハは庭を通り過ぎただけでした。芋の蔓が伸びて、いつものようにカタバミが育たなかったので、シジミチョウが少なかったり、小さな生き物である蝶たちは庭の状態を見て、来るか来ないか決めていることがわかります。
地域の環境のおかげもあって、たくさんの種類の蝶が見られるのもありがたいことだと思いました。
それから、蝶を見分ける方法は、羽の模様も大事ですが、飛び方、習性なども考慮に入れるとより判別しやすいことが分かりました。

参考図書・・・学研版、学習科学図鑑 昆虫1 チョウ・ガ


前回の記事「蝶が庭に来るのは何故か花だけじゃない植物との関係」では、庭にある植物と蝶がやって来る関係性について書きました。蝶について知ったこと感じたことなどを書きました。ここで取り上げていない蝶についても書いています。

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